初日(2) 黒部峡谷とトロッコ列車(また長い)
欅平駅にあった掲示です。
さて、黒部峡谷鉄道のトロッコ列車は乗車号車が指定で、座席の指定までは無し。券売窓口の おにーさんからもらったアドバイス通り、前端から2列目の席に陣取りました。
座るとカメラを斜め前方に向けにくい最前列は、座らずにカメラとリュックを置く。
斯様、窓無し普通車も車両の前後は窓になっているんですね。すれ違いのため、乗降させない駅で停車したときの写真です。
11:27 、これが動き始めると、なるほどトロッコ。けっこう緩いバネを使ってあるけどダンパーは有るのか無いのか、ガタピシ揺れる揺れる。
普通車は背もたれが無いから、身体を支えるのに体力を少々使うと思います。
宇奈月を出た直後の写真。見える鉄橋は、以前はトロッコ列車で使っていたそうな。
川を渡ってすぐのトンネルを抜けると見える宇奈月ダム湖。
峡谷をどんどん分け入っていく。スノーシェルターでありつつ、落石シェルターでもあると思います。
この頃にはもう、駅弁を一つ、食べ終えていました。荷物が減った。のではなく、腹の中に移っただけで、足にかかる負荷は変わらない。(笑)
横からの風を感じながら揺れに身を任せていると、季節的な湿度もあって汗ばむ額をぬぐっていた火照りが治まってきました。
寒くは感じず、ぽてち的にはちょうどバランスして感じられていたです。
で、宇奈月を離れてトンネルを何本か抜けた頃には強く感じた。こりゃだいぶ激しい峡谷だぞ、と。
川筋の標高はたいしたことないのだけど、谷が深いのですね。
まず、高低差の大きな滝というか水流と言うか、いくつも目に入ることに気づく。水量豊かな山系を感じます。
この写真は滝でなく土石で埋まってしまった砂防堰堤だけど、右側に「へぇ~!」と。山を掘り抜いたトンネル水路から放水してます。
左右の山が急峻にそそり立ち、山々の多くに断崖絶壁が見られる。
激しく急勾配の険しい沢は土砂崩れで埋まり、いっしょに崩れ落ちた木々の残骸もたくさん目に入る。
黒部川は、崩れ落ちてきた大量の岩石の中を流れている。
砂防堰堤を作っても作っても、すぐに埋まってしまうわけです。
宇奈月を発って 20 分ほどの黒部川河畔に黒部川第二発電所が建っていますが、その周りの岩石の量といったらもう。(^^;;;
削った山と川との間のわずかな土地に建てていることがわかります。右奥の山は、やっぱり断崖になっている。下の写真は復路での撮影。
渓谷ではありません。まさに峡谷です。それも第一級の、激しい峡谷。
正直なところ、ここまで激しい峡谷を見たのは初めてです。
そんな峡谷を黒部川に沿って分け入り、あちらこちらで高い高い高い岩の山をくり抜いたトンネルを抜けていく。
各所で冬期歩道が目に入り、トンネルの中では歩道の開口部が何度も現れて、狭くて薄暗い歩道の中をわずかにうかがえる。
奥に発電所やダム、その事務所や宿舎があるから、3 m の積雪に閉ざされても保守・補給で人が登り降りしないとならんのですよね。
いや~ 息を呑む景色でした。(^O^;)
意外だったのは、一般客を乗降させない駅でも必ず停車して「ねこまた~ ねこまた~」とアナウンスしていたこと。
観光鉄道として有名であっても、真の姿は今も変わらず発電所のための設備であることが感じられます。
後刻、欅平で工事専用便の改札開始アナウンスを聞いて、その感を深めました。
落石と雪崩と凍結と黒部川の土石流と、様々な理由でいつも何かが破壊されていて、資材を運べる時期は常に保守・復旧の工事が行われているようです。
ちょっと想像してみると、ものすごいコストですね。割が合うのかしら。(^^;
翌日の黒部ルート見学時に説明の おとーさんから聞きました。先頭の機関車は一輛でなんと5億円。(^O^;)
上の写真で機関車の後ろについている白い車両。6輛編成で2億4千万円。(^O^;)
ワンオフは何でも高いですね~。(^^;;;
ということで 12:45 、欅平に着。
とっくの昔に飽き飽きしていました。乗り心地、悪いんだもの。(^^;
駅弁一つぶら下げて下車。(笑)
右端にわずかに写る、乗ってきた編成がこのまま真っ直ぐ進んで専用トンネルに入っていくと、翌日に見学で入っていった黒部ルートになります。 500 m ほど入っていったところに縦坑エレベーターがある。
隣の線の奥にあるトンネルは、黒部ルートでなく「別のところ」だそうな。
ホームの眼下に『黒三』あり。
ここで使う水のために、恐怖の『日電歩道』で資材を運搬しながら激しい難工事だったトンネル掘削を完遂して専用軌道等を敷き、仙人谷ダムを作ったのですよね。
下の写真に写る編成は乗ってきたものではありません。乗ってきた編成は撮っている背後の方に停車して、代わりに上の写真で空いている線から出てきたものです。
欅平駅の駅舎は、機関車の左奥に立つ2階建ての建物です。すなわち、降車してから改札まで、ホームを1編成分以上歩くことになります。
そして、ちょうど立っている辺りに、翌日覗き見させてもらった冬期歩道の口がある。
この写真は後刻に『人食い岩』のあたりから望んだ欅平駅舎。
さて、ここで何をどうすべぇかな?
黒部峡谷鉄道のエリア案内を見ても、行ってみるポイントが少ないんですよね。
河原に下りて
下流方向に 20 分歩いて行ったところにあるらしい『猿飛峡』というところ。眺めが良いらしくて撮影できそうだし、さほど疲れずに済んで適してる?
『祖母谷』というところは祖母谷峡を 50 分くらい歩くらしい。道が平坦なわけないし、汗タラタラになってシンドイかな?
なんてくらいの思案。
駅舎を出たテラスのような喫煙所で、とりあえず一服。トイレを済ませて出ると、向かい側にテントが立っていてテーブルに案内図が貼ってあった。
覗き込んでいたら、山岳救助隊も勤めていそうな おとーさんがやってきて、(ポイントが少ないから)簡単な解説をしてくれました。
大仰なカメラ2台さげを見て、本当なら『猿飛峡』だろうね~ と。とは、『猿飛峡』に向かう道が落石で通行止めになっているそうな。(^^;
復旧の段取りは始まっているけど、とーぶんダメでしょう、とな。
ほら、黒部峡谷ってば、やっぱりこうだ。(^^;;;;;; と、内心思った。(笑)
代わりに勧められたのが、がっつり本格的な登山行で黒部ダムまで分け入っていく登山道。『水平歩道』とか『日電歩道』とか、めちゃめちゃ頭悪いものがある上級者向けのルートです。
おぃ! (笑)
本当のところは、スタート部分の超急登坂を(元気な人で)2時間くらい頑張ったところにある展望台だったんですけど。(^O^;)
それにしたって (^O^;) だわさ。
けっきょく、「なら祖母谷だな。素晴らしい河原温泉があるよ。小一時間。」とな。
考え込んでいても悩んでいても別の結論は無さそうなところだから、「そっちの方」に向かうことにして歩き出す。駅弁一つ、ぶら下げて。(笑)
駅から下りていくと『奥鐘橋』。2つ上の写真にも写っている橋です。
ということは、橋を渡った先、川の右側になる山は『奥鐘山』か? 大きな宿舎が志合谷から吹き飛ばされて空を飛んだ後に叩きつけられた大岸壁がある山?
と、気づいたのはつい先ほどのこと。(^^; Google map で確認したら、アタリです。
橋を渡ったすぐ先が『人食い岩』。川が『祖母谷川』で、奥に続くは『祖母谷峡』なり。
橋から右側を見て、手前が『黒三』で、『黒三』の上に欅平のホーム。奥が『新黒三』。川は、黒部湖から仙人谷を通って流れてくる黒部川。
こちらの方が、急峻にそそり立つ山の深い谷間にあることがわかるかな? どちらにも写っとりますが、岩の堆積が、奥鐘山の岩壁が崩落してきた跡だとわかりやすいかな。
橋から左側、下流方向を見る。下部中央から来るのが黒部川で、下部右側から合流してくるのが祖母谷川。左下の人造物は河原展望台。
橋から左前方、祖母谷川方向。
すごい量の岩石、土砂ですね。ここも砂防堰堤が完全に埋まっている。
橋を渡った際に、こんなもの。
反省しています。ごめんなさい。m(__)m
案内してくれた おとーさんに「ヘルメットをかぶって行きなよ」と言われたのに、高をくくって付けずに入って行ってしまいました。
この先、道の上にたくさん散らばる大小の石と、コンクリ製ガードレール支柱が根こそぎでもぎ取られているのをたくさん見て、本当に怖かったです。(^^;;;;;;;;
看板に書かれていることの一部。
やっぱりここは本物でした。並の観光地じゃない。(^^;;;
ヘルメットかぶる必要まではなかろうと思いながら見た案内板。警告の反対側に立つ。「 35 分 ~ 40 分」は、元気な人の時間でした。そりゃ当然だけど。(^^;
そして目の前にあるのが『人食い岩』。
『人食い岩』を超えたあたり。水が綺麗ですね~。
なだらかだけどずっと登り道で、立ち止まっては写真を撮りながら、ゆっくりゆっくり登っていく。駅弁一つ、ぶら下げて。
画面中段左端に小さく写るトンネルを抜けてきた。振り返って撮ったものです。
あちこちにあった「ここで立ち止まるな。上に注意して通れ。」の看板が、トンネルの出口にも立っていました。
なだらかな登りがずっと続き、ゆっくりゆっくり足を進める。汗タラタラ。陽に当たらず、上も大丈夫そうなところで立ち止まって休みたい。
立ち止まって見る。岩壁に木が貼りついている。
見上げると、そこに岩壁。木が貼りついている。
名剣温泉に着いたところで汗を拭きつつ戻るかな?と思ったけど、なんかもったいなくて、ゆっくりゆっくり登っていく。駅弁一つ、ぶら下げて。
変な音がする。温泉の臭いも... と思ったら、祖母谷温泉からの引き湯管から湯が吹き出ていました。
あり? ふくらはぎが攣ってきたじょ。(^^; ゆっくり進もう...
振り返った図。下端に名剣温泉が写っています。
左端の真ん中から下、ここも高い岩壁。道をどこに通しても岩壁と落石から離れられないところのようで。
さて進もう。ゆっくりゆっくり... あら、また攣ってきた。(^^;;;
水音がするところで立ったまま休憩。日陰は岩の下になるから外れて立つと。日陰じゃない。でも、水の気配が涼やか~。(^_^)
撮り方を失敗してだいぶわかりづらいけど、二筋、しゃらしゃらと落ちています。
ここで時計を見ると、駅を出てからちょうど1時間。 15:00 を過ぎたところ。
ふくらはぎが攣るようになってきちゃったし、こういうところで一人静かに夕刻の気配を向かえるのも嫌だし。落石が怖いし。(^^;
戻ることにしました。帰宅後に地図で確認したら、駅から祖母谷温泉までの、半分の位置で引き返していました。
戻りは写真をさほど撮らなかったし、何より下りで足取りが軽かったし。往路の半分の 30 分で駅に着きました。戻りのペースだと祖母谷温泉まで1時間なのね。
時刻は 15:30 。宇奈月まで1時間 20 分もかかることを考えると、いいところでしょう。光の色温度も低くなってきた。
16:01 発の切符を買って、待ち時間に駅舎の屋上展望台へ上がってみる。
祖母谷温泉までの半分しか行っていないけど、だいぶ充実した気分でした。
計画していた鐘釣駅での下車は、この明るさだからもういいやと考えてパス。下車して見られるものも、ピンと来ていなかったし。
よく揺れるトロッコ列車で往復2時間 40 分は長いですね。鐘釣を出た先で、尻と腰が辛くなってきました。
横から浴びる風も、夕暮れ近くなると少し寒く感じてきた。
それでも寝落ちしてしまう ぽてち。(火暴)
夕暮れの宇奈月温泉街。泊まる宿の手前から撮影。
泊まった部屋。
宇奈月温泉に泊まることにしたとき、ちょっと苦労するだろうと思いました。
古くからの有名温泉地で、一泊2食で2万円弱から3万円弱と、料金が高いことは当然。加えてよくある話し。案の定、一人泊を受け入れる宿がほとんどありませんでした。たいてい「2名1室~」というやつ。
この宿は一人泊も受け入れていて、料金も宇奈月温泉にしてはビックリ、2食つき税込み1万円切りだったんです。
豪華な部屋と食事を期待した泊じゃなかったから、これは有り難かった~。(^o^)
部屋も大浴場も清掃が徹底していて清潔感があって、とても気持ちよかったし。冷蔵庫の冷却能力が高いことも、隠れた重要ポイントです。
部屋からの眺め。
その代わり、部屋風呂が無く、部屋 LAN 設備も無く、夕食は「弁当ひとつ渡すから、後はヨロ!」という初めてのパターン。(^^;
だからなんですね。ショボいことを警戒して、追加の駅弁を買ったのは。
で、意外なことに、渡された弁当が良かった。
スキー場あたりの、高い割りには手抜き見え見えの旅館で貧相な食事を出されるよりも、ず~っと良かったです。
品数豊富で味に変化があって、味もしっかりしていたし。これなら量の補充であんパンでも買って、カメラリュックに詰め込んでおけば十分だったですよ。
邪魔に耐えてぶら下げ続けていたのにー! (笑)
対して、昼に食べた方もそうだけど、駅弁は味がぼけて感じたです。同じ会社が作った、同じ「弁当」の範囲なのに。
なんにしても、美味しかったのは望外の喜びでした。(^o^)
いい宿だ♪ もっと栄えていいんじゃない? と思って迎えた夜。
晩になって、この宿の弱点に気づく。
晩はけっこう遅くまで。朝はだいぶ早朝から。「ファ~ン!」と、警笛の音が定期的かつ頻繁に響く。警笛に続いてガタゴトと動く音が響く。
なるほどー。どの部屋からも眼下にトロッコ列車が見られます!といった売り文句も、「トロッコ」の文字を宿のサブ名称に入れてあるのも、あれだ!
弱点を弱点と感じない感じにくい客を呼び込む大戦略だったのね~ん。 (^O^;)
ぽてちは... 五月蠅いなとは思ったけど、イライラはしない筋の客だった。(笑)
ということで、外泊中の ぽてちにしては(翌朝の寝坊があり得なかったし)そこそこ早い時間に寝落ちしたのでありました。
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